東京のすし屋の娘でもある、江戸前寿司伝道師Satomiです。
2022年も残すところ数日となりました。
今年は、足立区公認NPOとしての活動も始め、外部ですし付きではない講座もすることができました。
講座開催をし、受講者様から学ぶことも多く、また、より深く歴史や文化を学ぶことで、何気ない日常がちょっと違う方向から見ることなどもできるなぁと感じています。
すしの起源から現在の「すし」を作った「日本語を話す日本人」「すしには欠かせない調味料の歴史」なども調べていくと、とっても深いので「人生でどの位多くのことを知ることができるのだろうか?」と感じます。
それは、何気なく見たテレビドラマからも思うことがあり、年末に放送する番組もあるようなので、ここで紹介しながら、自分の経験や事業の事と共にまとめられたらいいかなと思って、ブログにしてみました。
文化としての「すし」
Susy’s Zooは、日本に来た外国人観光客が「日本のすし」をただ食べるのではなく、文化としての体験、そして、かぶれていない日本人と交流できる「おもてなし体験をしてほしい」との思いから始まりました。
子供の頃から「いいわね、お寿司屋さんの子」と言われる事がよくあったけど、それはその人にとって「すし」が特別なだけであって、私には当たり前にあるもので、むしろ嫌な事の方が多かったというのは、受講者さんは知っているかもしれないんだけど…それも日本を客観的に見るようになって、見直せたこと。
ホームステイ受け入れの経験 | 海外での経験 |
アメリカの姉妹校からきた留学生(男女3名)の受け入れ 海外で知り合った友人を泊める(アジア人含む) ①始めてきたアメリカ人留学生は、日本語を話す練習をしていない&私も英語を話す練習をしていない為、お互い上手く話す事はできなかったけど、コミュニケーションをとる事はでき、楽しく過ごす ②アメリカの姉妹校に留学中のボスニア人は、生魚が苦手でしたが、一緒に留学に来たアメリカ人・カナダ人留学生・ホストブラザーの訪日ご家族は「すし」が大好き ③日本語を話せない子が多かったけど、常連さんなどと楽しめ、良い思い出になっているらしい ➡︎10年以上たった今でも思い出話や体験を思い出す出来事があると連絡してくれる など | ①言葉よりも大切なことを学ぶ&私の話た英語(相手の母国語)が通じると嬉しい ②世界で有名な「すし」は東京の郷土料理である「握り寿司」。寿司職人の娘と知ると一目置かれる。 ③観光地ではなく、訪問した外国で地元の人と交流した体験の方が思い出にもなり、一緒に交流した人や先生などと10年以上たった今でも連絡を取る など |
日本語教師養成講座を受講 | |
①シドニーで受講した日本語教師養成講座は、生徒が模擬授業をやり、終わった後に、自分で反省、そして、模擬授業を見ていたクラスメイトが、フィードバックをしたり、ディスカッションをするという、基本的に生徒にやらせていくスタイル。 ②無意識に話している日本語の中の意識と向き合わされる など | ①経験者が少ないので、この形で授業を作成する事を理解できない人が多いが、授業の幅が広がったと思うし、苦痛だったけれど、良い経験。 ②発言したことに対して「なんでそう思ったの?」と聞かれ、わからない事があったけど、それは自分と向き合うことと、「言葉の大切さ」を学ばされたと思う。日本・日本語・日本人を客観的に見る など |
NYCでグローバルスタンダードを学ぶ | |
①アメリカでの名刺のもらい方・握手の仕方などを学ぶ。 ②実際にあるNYCのオフィスで授業を受けるので、入館手続きなどはもちろん、NYKerと交流できる。 ③会議室のような円卓で輪になって英語で授業を受けるが、テキストはなく、先生やクラスメイトと会話をしながら授業が進む。 など | ①日本人の良さを活かしつつ、グローバル化した対応をする大切さを学ぶ ②貴重な経験ができるし、NYKerと交流できるので刺激になる ③一方的な授業でないし、テキストがない分考えるので記憶に残る。(一方的な授業は10%しか記憶に残らないらしい)&大人数の前で間違った英語を話すと恥ずかしいと思わずにできるのは、先生の雰囲気作りが上手だからだと思った。 日本・日本語・日本人を客観的に見る など |
寿司屋で必要なこと | 講座で意識すること |
コミュニケーション力 など | ・話しやすい雰囲気作り ・コミュニケーションをとりながら進める など |
全てではないけれど、このような経験から、海外から見た日本の良さ、「寿司屋の娘だからわかること」「見てきたこと」などを含め講座で伝えるように意識している。市場でのお話なども含めて…
かぶれた経験もあるが、「もっと早く、義務教育で教えて欲しかったな」と思う経験が多いので、文化や歴史を伝える大切さ、日本語の大切さを取り入れながら、ただ「すし」が好きな人が受講しても、文化を学ぶ楽しさを感じてもらえたらいいなという思いもある。
今までの経験全てが、今の事業をするための経験だったんだなと思える事が多く、そして、今年経験したことや出来事なども来年に向けての大切なことだったと強く思うことがありました。
その話をしたら、スティーブ・ジョブズの有名な動画を送ってきた人がいました。
今でこそYoutubeが流行り、字幕のあるものが出てきましたが、実は、NYCのビジネススクールで「スティーブ・ジョブズの伝説の卒業式スピーチを見てくる」と言う課題が出た事がありました。
だから見たことはあったのですが、ここでまたこの動画が来ると言うことは何か意味があるのだろうと思ってまた見返したのですが…
「私の話から、この有名な動画・人物を思い浮かべたんだと思うとなんだか嬉しかった」と言うのが感想でした(笑)
お札になった留学生「津田梅子」
今年見たドラマの中で印象に残っているのは…
①スペシャルドラマの「津田梅子〜お札になった留学生〜」。
津田塾大学の創設者「津田梅子」のお話です。
ドラマの中で、「日本人は平和ボケしすぎです。」「もっと自分の意見を持ちなさい」などという台詞があります。
これは、私も海外へ行って帰国してとっても思ったこと。「文化」の話をした時の反応からもそれは思うことですが…「明治時代から何も変わってないのか?」と思いました。
しかし、「自分の意見を持つ」人は増えた気がします。それは、海外へ行く人が増えたからとも思いますが、ここで大切なのが、「日本人の良さは残す」ということかなと思います。それには、きちんと理解していることが大切かと。
日本や日本人の良さは、海外の人から学ぶのが一番かと思いますが、日本語の特徴からも見る事ができるし、特徴から、気をつけた方がいいなと思う点もあるもの。
日本人を客観的に見る
『日本語から見た日本人』と『日本人が誇れる33のこと』をBLOG「すし通ってどんな人?」でまとめています。
言語学者からすると、「言語を語るな!」と言われる程度かもしれないけど、それでも妙に納得する事がある。
お人好しになりやすい特徴とか…物事には良し悪しがあるから、日本人の特徴を客観的に見て、その場で使い分けることが大切だなと、今までの経験から思うこと。
また、『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』(金谷武洋)という本が出ているように、聞き手と同じ方向を向こうとする傾向が強い。それが共感にもつながっているのかな。
確か、『日本・日本語・日本人』(大野晋・森本哲郎・鈴木孝夫)でも「日本語話者が増えれば平和につながる」ようなことを言っていた。
今回は、紹介されていた言語の特徴を細かくは書かないけど、「平和ボケ」に関しては言語からも見れるのではないかと思う。
マウントをとる人や意見を真っ向から否定する人をよく見るんだけど、日本はいつも文明の輸入から新しいことが始まっている国だから、受け入れる感性・情感こそが最も特徴的な日本の文化。
「言葉をおろそかにすると見ることがダメになるから、ものをよく見て考えて、事実・真実に対して謙虚に理論的に見抜く習慣を養わないとダメで、日本人はこれからの世界を生きていけない」
と書かれていたけど、言葉・文化をおろそかにした結果が現代なのかな?と思ったり…
天皇の料理番
次に、たまたまTverで見た「天皇の料理番」。現時点で私が見たのは、9話までですが…
直木賞作家・杉森久英原作で、佐藤健が演じる主人公「秋山篤蔵」のモデルは、大正~昭和期にかけて宮内省(宮内庁)で大膳課主廚長(だいぜんかしゅちゅうちょう)を務めた『秋山徳蔵』がモデルらしい。
あらすじとしては、
①福井県で次男として誕生した篤蔵は、「何をしても3ヶ月で辞める」、どうしようもないからと、14歳?16歳?で昆布問屋の婿養子になる。そして、鯖江連隊に配達に行った先で、厨房でカツレツを口にし、衝撃を受けて、嘘をついて厨房に行き、料理を習うようになる。
②「西洋料理を学ぶなら東京だ」と言われ、勝手に東京へ行ってしまい「またすぐに戻ってくる」と言われたが、兄が「今回は本気だ」と応援をしてくれ、一流西洋料理店で働けることになる。しかし、掃除や洗い物ばかりでうんざりで、やる気を失ってしまう。が、料理長に「まごころ」が大切だと教えられる。
③「家族がいるから早く学びたい」と隠れて英国公使館でも働き始めるが、バレてしまい、どちらも首に…そして、食堂で働き始める。
④兄が父に頼み、フランスへ行かせてもらう。
⑤フランスでは、差別をされたり、嫌な思いもするが、技術を認めている料理長もいた。たまたま知り合ったフランス人女性から学ぶこともあり、日本人で初めて認められる。
⑥首になった店の料理長:宇佐美推薦で、フランスに「天皇の料理番」のオファーが届く。
⑦御即位の御大礼のメニューに困っていると、宇佐美に「フランス料理の最高峰オテル・リッツを知っているからだ」と言われ、日本にある材料で世界の人が認める料理を作る。
・普段の食事の献立を考えるのは大変。
・果物は切らない。(身を斬るに通ずるから)
・おかみ(陛下)に声が聞こえてしまうから、話さない。
・日本で出した料理で恥をかくのは「日本を代表する天皇」との一言で、料理人の意識が変わる。
・日本で得られて食べられる「ザリガニ」を用意できたが「音がうるさいから」と水道に布をつけた為、逃げたしまう。その原因を作ったのは、大膳洋食部の主厨で、大膳課の最古参。彼は、よく思っていなかった篤蔵に辞表を出す。
➡︎音が聞こえないように対応したから、それは「まごころ」だと伝える。
また、果物を切らないしきたりは、「手でもいでそのままかぶりついた方が美味しいからではないか?」と伝え、篤蔵は「検討する」という。
まだ、ここまでしか見ていないし、フランス料理のことはよくわかりませんが、篤蔵が御即位の御大礼を大成功できたのも「日本の良さを活かした対応」をできたからではないかと思いました。
そして、果物の件に関しても、物の見方は色々あるという点。
根底にある「まごころ」は、私の伝えたいことと通ずるものがあるなと思いました。
それだけれはありませんが、「日本人が忘れかけている大切なことを教えてくれるドラマ」なのではないかと思います。
「私が伝えたいこと」が見えたのと、再放送(第一部:2022年12月30日 (金) あさ 7時00分〜)をするようなので紹介を兼ねてまとめてみました。
2022年はどんな年?
今年は、なかなか関わることがない業界の人との交流が多かったような…
その中でも今年を一言で言ったら「漫才」かな。
なぜなら、舞台やライブって好きだし、高校の友人はお笑いが好きな子が多かったから「じゃあ私も見ようかな」ってテレビで見る程度で、あまり機会もなかったんだけど…
2022年は年始から「落語」を観に行ったし、木曽さんちゅうさんのビジネストークセミナーや東京理科大でのセミナー「漫才師に学ぶ伝えるための技法」を受講したり…。
年始の落語で思ったのは、話し方や見せ方で面白さが全然違うと言うこと。
セミナー受講の際もそれは思ったし、普段は考えないけど、言葉の言い回しや持って行き方でも全然違うものになると言うこと。
私も「講座楽しかったです!」と言って頂くことも多く、少しでも楽しくなるようにと思って作成しているんだけど、木曽さんの「たとえば、〜って持って行くとか…」と私の講座の一部を例に話した時「データ渡すので代わりにやってください」と思うくらい「受講したい!」と思う、面白そうな流れでした。
「漫才師に学ぶ伝えるための技法」セミナーでは、実際に食レポやコントをしました。
ここでも、言葉の使い方や表現の仕方、話し方や間で面白さなどが全然違うと言うことを実感し、漫才の難しさを学びました。そして、漫才師と一緒にコントをするという体験も(笑)
緊張して、普段よりもつまらない人になっていたかも…(笑)
「なぜ漫才師の授業?」と言うのは、漫才師が授業をしたら面白いだろうと思ったから!
「勉強しなさい!」って言われるとしたくないけど、興味を持たせてくれる先生がいると自ら学ぶと言う経験をしたから、少しでもそういう人が増えればいいなという思いもあって、受講してます。
そしたら、東京理科大ではすでに漫才師を講師に授業をしているという衝撃…いいな、今の大学生!
そんなこんなで、2022年は「漫才」だったなと。
そのお陰なのか、数日前に知り合った方に「言葉のチョイス?表現の仕方?伝え方?がとても素敵!」と言っていただきました。そして、この今年の経験が来年考えていたことに繋がっていると気がつきました。
まとめ
今年はNPOで開催した講座のアンケートで「すしを文化と捉えて、学校教育に入れるべき」ととても嬉しいコメントをいただけました。それと共に、日本文化をきちんと理解していない人が多いし、危機感もない人が多いと感じました。かぶれるのも周りに合わせる特徴を持つ日本人なのかもしれないけど、そこで止まっている人も多い気がします。実際、今年はそのまま突っ走っている人にも結構会いました。
これからさらに在日外国人が増えるだろうなと思いますが、たかが「すし」かもしれないけれど、「すし」を通して、思った以上に学べることが多いし、全てが繋がっているなと思う事が調べている中で思う事。
ただの「すし好き」でも、文化として捉えて学びたい人でも、来年も1人でも多くの方に「すしを通して日本文化を学ぶ楽しさを知っていただければいいな」と思います。
ちょっと出遅れた感がありますが、お休みしていた外国人向け事業もリニューアルし、来月には始めたいと考えているし、日本人向け講座もコースを増やしたので、スタートしたいと考えています。
準備が遅れつつありますが、来年は今年よりも1人でも多くの方に楽しんでいただけたら良いなと思います♬
今回は、「文化」と捉えた点で書きましたが、文化や歴史を学びながら「江戸前寿司を気軽に食べられるようになる」講座もあるので、ぜひ。